こんにちはハッピーサトさんです。
F1には多くのチーム、エンジン・メーカーが登場しては撤退という歴史が繰り返されてきました。
私が観戦しはじめた頃はマクラーレンに搭載されたホンダV6ターボ・エンジンが16戦中15勝という圧倒的な強さでシーズンを支配していました。
そして、ターボ・エンジンが禁止になるとホンダはV10、V12エンジンへと気筒数を増やしていき、あの独特の高音域でファンを魅了しました。

個人的にはあの頃はV12エンジンが最強!と思っていました。
スピードもあるしとにかく独特のあの高音域のサウンドが最高!
しかし、最近ふと思ったのです・・・
F1GPが開催された1950年以降で一番強かったのはどのメーカーのエンジンだったのか?
一番強かったエンジンの気筒数はいくつだったのか?
ということで今回はF1に参戦した歴代エンジンのうち、一番多くドライバーズ・タイトルへと導いた最強エンジン・メーカーはどこなのか、最強エンジンは何気筒エンジンなのかをランキング形式にして調べてみました。
1950年以降のタイトル獲得歴代エンジン
まずは年度別のドライバーズ・チャンピオンとその時に搭載されていたエンジンを整理してみました。
F1世界選手権としてスタートした1950年から最新の2021年までのデータです。
年度 | チャンピオン | チーム | エンジン | タイプ |
2021年 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル | ホンダ | V6ターボ |
2020年 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | メルセデス | V6ターボ |
2019年 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | メルセデス | V6ターボ |
2018年 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | メルセデス | V6ターボ |
2017年 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | メルセデス | V6ターボ |
2016年 | ニコ・ロズベルグ | メルセデス | メルセデス | V6ターボ |
2015年 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | メルセデス | V6ターボ |
2014年 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | メルセデス | V6ターボ |
2013年 | セバスチャン・ベッテル | レッドブル | ルノー | V8 |
2012年 | セバスチャン・ベッテル | レッドブル | ルノー | V8 |
2011年 | セバスチャン・ベッテル | レッドブル | ルノー | V8 |
2010年 | セバスチャン・ベッテル | レッドブル | ルノー | V8 |
2009年 | ジェンソン・バトン | ブラウン | メルセデス | V8 |
2008年 | ルイス・ハミルトン | マクラーレン | メルセデス | V8 |
2007年 | キミ・ライコネン | フェラーリ | フェラーリ | V8 |
2006年 | フェルナンド・アロンソ | ルノー | ルノー | V8 |
2005年 | フェルナンド・アロンソ | ルノー | ルノー | V10 |
2004年 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | フェラーリ | V10 |
2003年 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | フェラーリ | V10 |
2002年 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | フェラーリ | V10 |
2001年 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | フェラーリ | V10 |
2000年 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | フェラーリ | V10 |
1999年 | ミカ・ハッキネン | マクラーレン | メルセデス | V10 |
1998年 | ミカ・ハッキネン | マクラーレン | メルセデス | V10 |
1997年 | ジャック・ヴィルヌーヴ | ウィリアムズ | ルノー | V10 |
1996年 | デイモン・ヒル | ウィリアムズ | ルノー | V10 |
1995年 | ミハエル・シューマッハ | ベネトン | ルノー | V10 |
1994年 | ミハエル・シューマッハ | ベネトン | フォード・コスワース | V8 |
1993年 | アラン・プロスト | ウィリアムズ | ルノー | V10 |
1992年 | ナイジェル・マンセル | ウィリアムズ | ルノー | V10 |
1991年 | アイルトン・セナ | マクラーレン | ホンダ | V12 |
1990年 | アイルトン・セナ | マクラーレン | ホンダ | V10 |
1989年 | アラン・プロスト | マクラーレン | ホンダ | V10 |
1988年 | アイルトン・セナ | マクラーレン | ホンダ | V6ターボ |
1987年 | ネルソン・ピケ | ウィリアムズ | ホンダ | V6ターボ |
1986年 | アラン・プロスト | マクラーレン | ポルシェ | V6ターボ |
1985年 | アラン・プロスト | マクラーレン | ポルシェ | V6ターボ |
1984年 | ニキ・ラウダ | マクラーレン | ポルシェ | V6ターボ |
1983年 | ネルソン・ピケ | ブラバム | BMW | 直4ターボ |
1982年 | ケケ・ロズベルグ | ウィリアムズ | フォード・コスワース | V8 |
1981年 | ネルソン・ピケ | ブラバム | フォード・コスワース | V8 |
1980年 | アラン・ジョーンズ | ウィリアムズ | フォード・コスワース | V8 |
1979年 | ジョディー・シェクター | フェラーリ | フェラーリ | F12 |
1978年 | マリオ・アンドレッティ | ロータス | フォード・コスワース | V8 |
1977年 | ニキ・ラウダ | フェラーリ | フェラーリ | F12 |
1976年 | ジェームス・ハント | マクラーレン | フォード・コスワース | V8 |
1975年 | ニキ・ラウダ | フェラーリ | フェラーリ | F12 |
1974年 | エマーソン・フィッティパルディ | マクラーレン | フォード・コスワース | V8 |
1973年 | ジャッキー・スチュワート | ティレル | フォード・コスワース | V8 |
1972年 | エマーソン・フィッティパルディ | ロータス | フォード・コスワース | V8 |
1971年 | ジャッキー・スチュワート | ティレル | フォード・コスワース | V8 |
1970年 | ヨッヘン・リント | ロータス | フォード・コスワース | V8 |
1969年 | ジャッキー・スチュワート | マトラ | フォード・コスワース | V8 |
1968年 | グラハム・ヒル | ロータス | フォード・コスワース | V8 |
1967年 | デニス・ハルム | ブラバム | レプコ | V8 |
1966年 | ジャック・ブラバム | ブラバム | レプコ | V8 |
1965年 | ジム・クラーク | ロータス | クライマックス | V8 |
1964年 | ジョン・サーティース | フェラーリ | フェラーリ | V8 |
1963年 | ジム・クラーク | ロータス | クライマックス | V8 |
1962年 | グラハム・ヒル | BRM | BRM | V8 |
1961年 | フィル・ヒル | フェラーリ | フェラーリ | V6 |
1960年 | ジャック・ブラバム | クーパー | クライマックス | 直4 |
1959年 | ジャック・ブラバム | クーパー | クライマックス | 直4 |
1958年 | マイク・ホーソーン | フェラーリ | フェラーリ | V6 |
1957年 | ファン・マヌエル・ファンジオ | マセラティ | マセラティ | 直6 |
1956年 | ファン・マヌエル・ファンジオ | フェラーリ | フェラーリ | V8 |
1955年 | ファン・マヌエル・ファンジオ | メルセデス | メルセデス | 直8 |
1954年 | ファン・マヌエル・ファンジオ | マセラティ 1-3戦 | マセラティ | 直6 |
〃 | 〃 | メルセデス 4-9戦 | メルセデス | 直8 |
1953年 | アルベルト・アスカリ | フェラーリ | フェラーリ | 直4 |
1952年 | アルベルト・アスカリ | フェラーリ | フェラーリ | 直4 |
1951年 | ファン・マヌエル・ファンジオ | アルファロメオ | アルファロメオ | 直8SC |
1950年 | ジュゼッペ・ファリーナ | アルファロメオ | アルファロメオ | 直8SC |
※1952年のアルベルト・アスカリのフェラーリ・エンジンは第3戦インディのみV12
※1984~1986年のマクラーレンのTAGエンジンはポルシェ製としてカウント
記念すべきF1世界選手権初年度の1950年にドライバーズタイトルに導いたエンジンは、アルファロメオ製の直列8気筒スーパーチャージャー付エンジンでした。

スーパーチャージャー付エンジンがF1で走っていたとは知りませんでした^^;
各時代のザックリとしたF1エンジン変遷ですが、1950年代は直列4気筒~直列8気筒のエンジンが主流でしたが、1960年代に入るとV型8気筒のエンジンが主流となり、1970年代に入るとフォード・コスワースのV型8気筒エンジンがF1を支配。
そして1977年にルノーがF1史上初のターボ・エンジン(V6)を実践投入、1980年までの4年間はターボ・エンジンはルノー・チームが単独で搭載し、他チームは全てNAエンジンだった。ルノーは単独でターボ・エンジンを開発しF1で実践投入し続けたパイオニアでした。
1981年にはやっと他メーカーもターボ・エンジンを投入しはじめ、フェラーリ製V6ターボ・エンジンがフェラーリに搭載され、ハート製の直列4気筒ターボ・エンジンを搭載したトールマンが登場した。ここから一気にターボ時代へと突入していき、1980年代後半のホンダ・ターボ圧勝時代へと進んでいく。
レギュレーションの変更もあり1990年代にはNAエンジンのV型10気筒、2006年からV型8気筒、2014年からはV型6気筒ターボ・エンジンとなった。
ここからは、最強エンジン・メーカーと最強エンジン気筒数を確認していきます。
1950年以降の最強エンジン・メーカー・ランキング
1950年から2021年の間でドライバーズ・タイトルに導いた回数順にエンジン・メーカーを確認してみました。
タイトル獲得に貢献した最強エンジン・メーカーはコチラ^^!
タイトル獲得数 | エンジン・メーカー | タイプ | タイトル獲得時の搭載チーム |
15 | フェラーリ | 直4、V6、V8、V10、F12 | フェラーリ×15 |
13 | フォード・コスワース | V8 | ロータス×4、ウィリアムズ×2、ティレル×2、マクラーレン×2、ブラバム×1、ベネトン×1、マトラ×1 |
13 | メルセデス | 直8、V8、V10、V6ターボ | メルセデス×9、マクラーレン×3、ブラウン×1 |
11 | ルノー | V8、V10 | ウィリアムズ×4、レッドブル×4、ルノー×2、ベネトン×1 |
6 | ホンダ | V6ターボ、V10、V12 | マクラーレン×4、ウィリアムズ×1、レッドブル×1 |
4 | クライマックス | 直4、V8 | クーパー×2、ロータス×2 |
3 | ポルシェ | V6ターボ | マクラーレン×3 |
2 | アルファロメオ | 直8SC | アルファロメオ×2 |
2 | レプコ | V8 | ブラバム×2 |
1 | BMW | 直4ターボ | ブラバム×1 |
1 | BRM | V8 | BRM×1 |
1 | マセラティ | 直6 | マセラティ×1 |
タイトル獲得経験のあるエンジン・メーカーは12社ありましたが、その中で最も多くタイトル獲得に貢献した最強エンジン・メーカー第1位はフェラーリでタイトル獲得数15回でした。
そのフェラーリは直列4気筒、V型6気筒、V型8気筒、V型10気筒、水平12気筒と様々なタイプのエンジンで各時代ごとにタイトルを獲得していました。
最強エンジン・メーカー第2位はフォード・コスワースでタイトル獲得数13回。1968年から1982年まではフォード・コスワースがF1界を支配していました。またフォード・コスワースは数多くのチームに搭載されたこともあり全7チーム(ロータス、ウィリアムズ、ティレル、マクラーレン、ブラバム、ベネトン、マトラ)でのタイトル経験があります。
フォード・コスワースと同じくメルセデスもタイトル獲得数13回。2014年から7年連続でタイトル獲得しV型6気筒ターボ・エンジン・パワーユニット時代を完全に支配していました。
1950年以降の最強エンジン気筒数ランキング
1950年から2021年の間でドライバーズ・タイトルに導いた回数順にエンジン気筒数・タイプを確認してみました。
タイトル獲得に貢献した最強エンジン気筒数・タイプはコチラ^^!
タイトル獲得数 | タイプ | エンジン・メーカー | タイトル獲得時の搭載チーム |
28 | V8 | フォード・コスワース×13、ルノー×5、フェラーリ×3、クラマックス×2、メルセデス×2、レプコ×2、BRM×1 | ロータス×6、レッドブル×4、ブラバム×3、マクラーレン×3、フェラーリ×3、ウィリアムズ×2、ティレル×2、BRM×1、ルノー×1、マトラ×1、ベネトン×1、ブラウンGP×1 |
15 | V10 | ルノー×6、フェラーリ×5、ホンダ×2、メルセデス×2 | フェラーリ×5、ウィリアムズ×4、マクラーレン×4、ベネトン×1、ルノー×1 |
13 | V6ターボ | メルセデス×7、ホンダ×3、ポルシェ×3 | メルセデス×7、マクラーレン×4、ウィリアムズ×1、レッドブル×1 |
4 | 直4 | クライマックス×2、フェラーリ×2 | クーパー×2、フェラーリ×2 |
3 | F12 | フェラーリ×3 | フェラーリ×3 |
2 | V6 | フェラーリ×2 | フェラーリ×2 |
2 | 直8 | メルセデス×2 | メルセデス×2 |
2 | 直8SC | アルファロメオ×2 | アルファロメオ×2 |
1 | V12 | ホンダ×1 | マクラーレン×1 |
1 | 直4ターボ | BMW×1 | ブラバム×1 |
1 | 直6 | マセラティ×1 | マセラティ×1 |
タイトル獲得経験のあるエンジン気筒数・タイプは11種類(直4・直6・直8・直8SC・直4ターボ・V6・V8・V10・V12・F12・V6ターボ)ありました。
その中で最も多くタイトル獲得に貢献した最強エンジン気筒数・タイプの第1位はV型8気筒エンジンでタイトル獲得数28回でした。
第2位はV型10気筒エンジンでタイトル獲得数15回でした。V型10気筒エンジンが初めてタイトルを獲得した1989年はターボ禁止によりNAエンジン元年となったシーズンでした。
全チームV型10気筒エンジンとなる1998年までは主にV8・V10・V12エンジンが3つ巴で戦っていましたが、結果的にV型10気筒エンジンがこの時代を支配しました。
第3位はV型6気筒ターボ・エンジンでタイトル獲得数13回でした。そのうち、2014年以降にメルセデスが7連覇、ホンダとポルシェ(TAG)が各3回ずつタイトル獲得に貢献していました。
さいごに
ということで今回は最強エンジン・メーカーと最強エンジン気筒数のランキング紹介でした。
冒頭でも触れましたが、個人的には12気筒エンジンが最も速くて、最も魅力的なサウンドなんだと思っていました。しかし、調べてみるとこれまで70年以上F1が開催されてきた中で12気筒エンジンは4回(V12で1回、F12で3回)しかタイトルを獲得していない。
もちろん技術的、レギュレーションによって12気筒エンジンが登場した時代も限られるのは理解していますが、意外と少ないなぁという印象を受けましたし、V型の12気筒エンジンでタイトルを獲得したのはホンダだけだったんですね。
さて、2026年には新エンジン・レギュレーションが採用され新規エンジン・メーカーの参入が噂されているので、エンジン・メーカーの支配・勢力図の変化も注目していきたいですね。
それではまた^^!
F1エンジン・メーカーの変遷はコチラ
F1チームの参入・撤退の変遷はコチラ