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2022年F1に復活する「グラウンドエフェクトカー」の仕組み

調べてみた
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こんばんはハッピーサトさんです。

2022年のF1マシンはレギュレーション変更により「グラウンドエフェクトカーとなり、前年型の改良・進化版ではなくマシンを根本からデザイン変更することとなった。

グラウンドエフェクトカーは前後のウィングではなくマシン底面の形状によりダウンフォースを発生させるマシンで、1970年代後半にチーム・ロータスが開発し実戦投入しシーズンを圧倒した。

ただ、そのマシン構造が要因とされる重大事故・死亡事故も発生したため、1982年を最後にグラウンドエフェクトカーは禁止となり姿を消した。

 

今回は、伝説のロータス78とロータス88の実物写真とミニカー写真を参考にしながら、グラウンドエフェクトカーの仕組みを確認してみたいと思います。

ロータス78の写真は2012年にトヨタメガウェブ、ロータス88の写真は2015年F1日本GP(鈴鹿サーキット)と2016年富士スピードウェイで撮影したものです。

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グラウンドエフェクトカーとは

F1では主に前後のウィングに風を受けて車を地面に押し付ける形でダウンフォースを得て、高速で走行できるようになっている。

一方で、グラウンドエフェクトカーは前後に装着するウィングに風を受けてダウンフォースを得るのではなく、マシン底面と地面の間の空気の流れを利用してダウンフォースを得る仕組みを持つマシン。

具体的には、マシン底面の空気の通り道(トンネル)を部分的に絞ることで、その狭まった部分を通る気流の速度が上がる(速くなる)ため負圧が生じ、結果としてマシンが地面側に引き寄せられる(吸い寄せられる)事になる。

時代によってこの空気の通り道の作り方・狭め方異なっている。

1970年代~1982年のグラウンドエフェクトカー

 

引用:formula1-dictionary.net

1970年代後半に登場したグラウンドエフェクトカーは、後方に跳ね上げる様なウィング構造を内蔵したサイドポンツーン内に空気の通り道を作っていた。

空気の通り道が狭まったサイドポンツーン前方では気流速度が高くなり負圧が発生。マシンの前方側で発生する負圧から強力なダウンフォースを得られたため、サーキットによってはフロントウィングなしでも走ることが出来た。

また、空気の通り道を外部とうまく遮断して負圧が逃げないようにするために、サイドポンツーン側面底と地面を塞ぐスカートを装備した。スカートがバネで上下に稼働するようにして車高が変化しても路面に追従し常にピッタリと遮断できるものも登場した。

問題はマシンの車高や姿勢が変化、あるいはスカート部分の不具合などで空気の通り道に隙間が出来てしまうと急激にダウンフォースを失ってしまう事。

グラウンドエフェクトカーはその構造によるものとされる重大事故・死亡事故も発生したため禁止され、1983年以降はマシン底面に空気の通り道を作れないようマシンフロアを平らな一枚とするフラットボトム規制が導入された。

2022年のグラウンドエフェクトカー

引用:f1sokuho.mopita.com

1982年を最後に禁止されていたグラウンドエフェクトカーだったが、後方気流の影響を受けず接近戦からオーバーテイクをしやすいようにと再び解禁されることになった。

2022年に復活する事となったグラウンドエフェクトカーは、これまで1枚のフラットだったマシンフロアにトンネル状の2本のくぼみを設けて空気の通り道を作った。

引用:f1sokuho.mopita.com

このフロアに作られた2本のトンネルもマシン前方側で狭まる箇所(写真の②)があり、この箇所で気流速度が高くなり負圧が生じさせダウンフォースを得られるようになっている。

70年代後半はスカートにより空気の通り道をマシン外部と遮断していたが、2022年のマシンではマシンフロアのエッジに波形状や切り欠きを設けて乱気流の壁を意図的に作ることで負圧を逃がさない工夫がされている様子。

2022年のマシンもフロントウィングなしでも十分に走れるダウンフォースを得られるが、広告を掲載するスペースを減らしたくないという声から「除去」に至らなかった。

個人的にはフロントウィングが廃止にならなくて良かったです^^;

 

70年代後半~82年のフロントウィング「無し」マシンは違和感を覚えました。

 

あの頃のミニカーを買う時もフロントウィング「あり」マシンを選びました^^;

ここからは実際のF1マシン写真をもとに仕組みを見て行きましょう。

ロータス78(1977年のマシン)

グラウンドエフェクトカーのJPSロータス78(LOTUS 78)

このマシンは1977年にチーム・ロータスのコーリン・チャップマンが開発したグラウンドエフェクトカーのロータス78。

この時代のマシンの仕組みは前述の通り、マシン底面(サイドポンツーン内)の隠れたウィングでマシンを地面に吸い付けダウンフォースを発生させるというもの。ウィング構造をもっていたため別名ウィングカーと呼ばれた。

この画期的な構造を持つマシンが実戦レースに投入された1977年、マリオ・アンドレッティが年間2位、コンストラクター2位という結果。

その翌1987年はマシンを進化させたロータス79で、マリオ・アンドレッティが年間チャンピオン、コンストラクターズも1位となり、ダブルタイトルを獲得した。

マシンの車高・姿勢が変わると気流速度が変化したり失速して負圧が逃げてしまいダウンフォースが抜けてしまうため、車体姿勢を維持して一定の車高とするために固いサスペンション仕様が採用された。

グラウンドエフェクトカーのJPSロータス78(LOTUS 78)のサイドスカート

負圧が生じる事でサイドポンツーン側面下部ではマシン外側から内側へ空気が流れ込もうとし、実際に流入してしまうと気流が失速し負圧が減少してしまう。

そのため空気の通り道のトンネル外部からの気流の流入を防ぐためにサイドポンツーン側面底辺と地面を塞ぐサイドスカート(写真の赤枠箇所)が設けられている。

サイドスカートの材質は当初ナイロンのブラシだったが、サイドポンツーン内部を「密閉遮断」するには不十分とされ写真のようなゴム製や樹脂製のものへと変更された。このスカート部分は常に路面に接地しズルズル・ガリガリと引きづり続けながら走行していた。

 

車体底面をロータス78のミニカーで見てみましょう。

グラウンドエフェクトカーのJPSロータス78(LOTUS 78)のアンダーフロア

車体を裏返すとマシンのフロアがフラットではなく、サイドポンツーン内部のフロアがリアタイヤ側に向かって上方へ跳ね上がっているのが分かる。

グラウンドエフェクトカーのJPSロータス78(LOTUS 78)のアンダーフロア

本来ならフロアは黄色の直線のように平らな面になるはずだが、ロータス78のフロアは赤色の曲線になっている。

現代マシンでいう所のディフューザーがサイドポンツーン内にあるというイメージ。

グラウンドエフェクトカーのJPSロータス78(LOTUS 78)のアンダーフロア

中央モノコック部分とサイドポンツーン側面にかこまれた部分は窪んだトンネル状になり空気の通り道となる。

グラウンドエフェクトカーのJPSロータス78(LOTUS 78)のアンダーフロアの気流と速度

トンネル状になっている空気の通り道を横から見る。地面側の赤い直線とウィング形状になっているマシンフロアの赤い曲線に挟まれた部分(赤い線)を空気(青い矢印)が通り抜けていく。

サイドポンツーン手前から空気はマシン下へと入り込み、前方の空気の通り道が狭められた個所では気流が加速し負圧が発生、そして気流は後方へと一気に抜けていく。

グラウンドエフェクトカーのJPSロータス78(LOTUS 78)の気流出口

マシンフロアでの負圧を最大限で得るためにはサイドポンツーン内部は障害物のないトンネルであることが望ましい。

ただ、ロータス78ではその空気の通り道のトンネル出口(赤色枠)手前にはサイドポンツーン前方から伸びるラジエターの配管、エンジンのエキゾースト・パイプが収まっており、トンネル出口にはサスペンションのスプリング、巨大なアップライトなど各種パーツが気流を塞ぐ障害になっていた。

 

翌年のロータス79では、エキゾースト・パイプは上方排気へとレイアウト変更され、サスペンション・スプリングもギアボックスそばに垂直にレイアウトされ、気流が抜けるトンネルの障害物はほぼ排除された。

また、空気を遮断するためのスカートについてもスプリングでスカート(遮断版)が稼働するスライディング・スカートへと進化、車高が変化してもスカートが上下に動くことで地面と常時接触して遮断できるものになった。

地面との接触でスカートが擦り減る対策としてスカート底辺はセラミック素材が使用された。

ロータス78で残された「宿題」を解決し進化したロータス79は約30%ものダウンフォース向上を実現しシーズンを圧倒する強さを見せつけた。

ロータス88(1981年のマシン)

グラウンドエフェクトカーのJPSロータス88(LOTUS 88)

1981年は空気を遮断するための可動式スライディングスカートが禁止され、最低地上高が60mmと規定された。しかし、地面とマシン側面底の隙間を埋めて空気を遮断するために裏技的発想で開発されたグラウンドエフェクトカーがこのロータス88だった。

何が裏技かというと、車検を受ける停車時は規定の車高60mmをクリアするのだが、走行時はマシンカウルが空気抵抗を受けて沈み込み、結果としてサイドポンツーン側面底辺が地面に接触し空気の通り道を遮断できるという斬新なもの。

この裏技マシンはツインシャシーという構造を持ち、その名の通りマシンは2つのシャシーから構成されていて、モノコックシャシーの上にスプリングを介して載せた可動式のカウルがファーストシャシー、一般的にシャシーと呼んでいるモノコックはセカンドシャシーとなっている。

この可動式カウルは時速100km/h以上になるとダウンフォースが発生し沈みこむ仕組みのため、高速になりカウルが沈みこむとサイドポンツーン側面が地面と接触してスライディングスカート状態になる。

稼働式カウルのファーストシャシーでダウンフォースを受け取り、セカンドシャシーではサスペンション足回りからの力を受けるという仕組み。

そのためグラウンドエフェクト増大に対してガチガチに固いサスペンションで車高・姿勢を一定にすることなく、柔らかいサスペンションを使用できドライバーの身体的苦痛を改善できるものでもあった。

ちなみに車検は「一応」合格しフリー走行では走行したものの、ライバルチームからレギュレーション違反だと猛抗議を受けて予選・決勝は走れなくなってしまった。

グラウンドエフェクトカーのJPSロータス88(LOTUS 88)

マシン側面部分はリアタイヤの内側を通り抜けリアウィングまでつながる巨大な一つの”面”になっている。そして空気の通り道の出口は、ウィング形状のフロアとリアウィングがまるで一つの巨大ディフューザーのようになっている。

グラウンドエフェクトカーのJPSロータス88(LOTUS 88)のリアウィング

さいごに

いよいよ開幕前テストが始まり、40年ぶりに復活したグラウンドエフェクトカーの走行を見ることが出来ました。

車重が重くなったことと前後のウィングが飾り程度になり低速時はダウンフォースが得られにくくなったせいかアンダーステアが強く出ているような感じですね。

それよりもビックリしたのは、グラウンドエフェクトカーが禁止となりその間40年の技術的進歩がありながら、今の時代でもイルカ飛びが起こってしまうんだと。

イルカ飛びをポーポイズ現象って呼んでいましたけど、今年はパーポイシング?ポーパシング?バウンシング?どのような呼び方が主流になるのでしょうか^^;

しかし、あの縦揺れはマズいんじゃ・・・頸椎が・・・実は私は首を痛めて手のしびれとマヒがずーっと残っているので、余計に心配になっちゃいます。

一刻も早く空力開発からこのポーポイズ減少から抜け出せますように><!

※日本の中継・雑誌ではポーパシングで呼び方が統一された感じがありますね^^

それではまた^^!

↓今回参考にした主な書籍など↓

ベンチュリ効果ベルヌーイの定理グラウンド・エフェクト・カー

ロータス・78ロータス・88

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